当院では、健康な方や将来の認知症などの疾患が心配な方向けの脳機能評価の補助的な判断として客観的な脳機能検査を取り入れています。そのうちの代表的なものが、近年のコンピュータや脳科学の進歩により、1980年代より開発が進められた技術の一つであるQEEG(定量的脳波測定)です。これは従来てんかんなどの鑑別のために使用されている一般的な脳波測定や、主に精神疾患の補助診断として一部の医療機関で使われている光トポグラフィー(NIRS)などの脳血流に基づいた脳機能検査と比べて格段に精度が良く、個人個人の脳の状態が詳しい報告書とともに把握する事ができます。

当院では「AIによる統合QEEG」機器を導入しています。特徴としては、世界初のアジア人の脳データベースを利用し、かつAI(人工知能)による迅速かつ正確な分析技術を導入するなど、テクノロジーにより精度の向上が図られた次世代の技術が詰め込まれています。さらに、HRV(心拍変動解析というストレス度分析の一種)、認知症予測などを同時計測分析するなど、QEEGの枠を超えた統合QEEGとして個人の脳および身体のチェックができるようになりました。
また、この最新式の機器に関しては、米国FDA(米国食品医薬品局)からクラス2 (上から2つ目の重要度ランクの医療機器)の医療機器としての認証を得ています。ちなみに従来のQEEGにおいても、米国小児科学会(AAP)により、ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童に対する補助診断として、薬剤と同等の「レベル1」(ベスト・サポート)の格付けを認められています。
(※あくまでも日本では医療機器として未承認・治験段階ですので、当院でも研究および補完代替医療の取り扱いとさせて頂いております)

・ 認知症の予測(今後のリスクをパーセンテージで5段階予測)が出来る
・ 脳機能において、不具合な箇所や正常な部分をきめ細かく発見できる
・ HRV(心拍変動解析)など、ストレス度や自律神経機能のチェックが同時計測出来て、脳波の結果と統合することでより深い脳機能の分析が可能となる
・ PBM(光生体調節。光刺激療法の一種で同じ機器で施行可能。)や在宅のニューロフィードバック(別の機器で施行可)のプロトコル設定の指針とする事ができ、必要時に治療につなげられる
・ その他エビデンスとして、ADHD (注意欠陥多動症)、うつ病、不安症(PTSDを含む)、認知症、統合失調症、頭痛などの疼痛性疾患、TBI(頭部外傷後遺症)、てんかんなどが論文化されています。

(引用・参考文献)
V.J.Monastra et al. “Quantitative electroencephalogram and attention deficit hyperactivity disorder: Clinical applications.” Current Psychiatry Reports vol.10, 432–438 (2008)
S. Kesebir et al. “QEEG in affective disorder…” Heliyon. 2018 Aug; 4(8)
R.W.Thatcher et al. “EEG discriminant analyses of mild head trauma” Electroencephalogr Clin Neurophysiol(1989) Aug;73(2):94-106.
C.Luckhaus et al. “Quantitative EEG in progressing vs stable mild cognitive impairment…” Int J Geriatr Psychiatry(2008) Nov;23(11):1148-55

世界50カ国以上で実施されている、パソコンを使用した約40分の認知機能検査です。このテストを通じて、様々なタイプの記憶力低下・集中力低下・抽象的思考力や社会認知の低下の有無や程度を調べられます。

(※あくまでも日本では医療機器として未承認・治験段階ですので、当院でも研究および補完代替医療の取り扱いとさせて頂いております)

2016年頃より、ガンマ波という特殊な波長の光や音を脳に当てると、動物の脳の中の認知症の指標が改善する(アミロイドβという物質が除去される)事が、論文で散見されるようになって来ました。
脳に対するPBM(光生体調節)とは、LLLT(近赤外線を使った低レベルレーザー療法)を脳に応用したもので、ある特定の波長の光レーザーを頭部に当てて、様々な疾患の治療や脳機能改善を図るというものです。現在、世界各国で研究が進み様々な治療に活かせる可能性が高く、日本では医療機器としてまだ治験段階ですが、すでにFDA(米国食品医薬品局)やMFDS(韓国版FDA)によって認可されている機器もあります。
科学的エビデンスは十分に揃っていませんが、2023年現在で700を超えるランダム化臨床試験が公開されており、そのうちの半分は身体の痛みに関するものです。一方で、認知症、パーキンソン病、脳梗塞、頭部外傷、発達障害、うつ病、不安症への治療効果も検証されてきており、掲載論文数も年々増加傾向です。
これは通常、医師や専門のセラピストによって運用されます。治療には約10分かかり、週に2回以上適用する必要があります。薬剤のような他の治療方法と比較して、光線療法は極めて安全で副作用報告もほとんど見られず、治療のための悪影響のない方法です。

上記の波長光レーザーにより、脳細胞内のミトコンドリアに直接刺激が与えられるメカニズムが想定されており、脳内のエネルギー産生向上を通じ、脳血流改善と炎症軽減、さらには、認知機能向上、精神症状(うつや不安など)の改善、頭部外傷による後遺症の軽減が期待できます。認知症やMCI(軽度認知障害)、ADHDやうつ病、不安障害、頭部外傷後遺症などの疾患レベルの人だけでなく、健康範囲内での物忘れや集中困難・抑うつ・不安などの改善にも適応できる可能性があります。

(引用・参考文献)
Vargas, Enrique, et al. “Beneficial neurocognitive effects of transcranial laser in older adults.” Lasers in medical science 32.5 (2017): 1153-1162.
Barrett, Douglas W., and F. Gonzalez-Lima. “Transcranial infrared laser stimulation produces beneficial cognitive and emotional effects in humans.” Neuroscience 230 (2013): 13-23.
Nizamutdinov, Damir, et al. “Transcranial near infrared light stimulations improve cognition in patients with dementia.” Aging and disease (2021): 0.
Jahan, Ali, et al. “Transcranial near-infrared photobiomodulation… healthy young adults.” Lasers in medical science 34.6 (2019): 1193-1200.
Maiello, Marco, et al. “Transcranial Photobiomodulation with Near-Infrared Light for Generalized Anxiety Disorder: A Pilot Study.” Photobiomodulation… (2019): 644-650.
Naeser, Margaret A., et al. “Improved cognitive function after transcranial, light-emitting diode treatments in chronic, traumatic brain injury…” Photomedicine and laser surgery 29.5 (2011): 351-358.

米国にて長年PBMに関する臨床経験がある専門家の先生を所属スタッフとして招き、サービスの提供を致しております。またクリニックでは、各個人の脳波の状態に合わせて、オーダーメイドの周波数調整および、光刺激部位の綿密な選定が可能となるため、一般向けに販売されているいわゆる画一的な周波数のPBM機器よりもさらに効果が期待できます。

(※あくまでも日本では医療機器として未承認・治験段階ですので、当院でも研究および補完代替医療の取り扱いとさせて頂いております)
(※免責事項:健康的な老化には、定期的な運動、バランスの取れた食事、認知的な活動など、適切な生活習慣を維持することが重要です。)

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)とは、微弱な電流を頭皮に与え、様々な治療効果を図る非侵襲的な脳刺激技術です。この穏やかな電流の刺激によって、特定の脳領域の神経活動を調整(活性化または抑制)することが可能で、認知機能を向上させ、全体的な脳の健康を促進することを目指しています。
具体的にはtDCSのセッションでは、電極を頭皮の特定の部位に配置し、1ミリアンペア程度の軽い電流を約10〜30分間与えます。必要なトレーニング回数は様々で通常5回から20回程度まで幅があります。この電流は脳細胞の静止膜電位に影響を及ぼし、神経細胞が発火する事を通じて、神経可塑性が起こると考えられています。
またtDCSは学習能力、記憶力、注意力を向上させる可能性があり、経頭蓋磁気刺激(TMS)などと同様に、効果が比較的長く持続するとされています。
安全性に関しては、訓練を受けた専門家が承認されたデバイスを使用して施術する限り、tDCSは一般的に安全と見なされます。ECTやTMSよりも弱い電流を使用するため、けいれんを引き起こす可能性はほとんどありません。軽度の副作用(電極部位のチクチク感やかゆみなど)は、セッション後すぐに治まります。

tDCSは比較的歴史が新しい技術ですが、最近10年間で脳卒中リハビリテーションの分野で研究が急速に進んでいます。また様々な研究によれば、慢性的な疼痛状態や、依存症、学習能力、記憶力、注意力などの認知機能の向上、うつや不安などを改善させる可能性があります。

(引用・参考文献)
Antal, A., et al. (2017). “Low intensity transcranial electric stimulation: Safety, ethical, legal regulatory and application guidelines.” Clinical Neurophysiology, 128(9), 1774-1809.
Meinzer, M., et al. (2015). “Transcranial direct current stimulation in mild cognitive impairment…” Alzheimer’s & Dementia, 11(9)…
Hsu, W.-Y., et al. (2015). “Effects of non-invasive brain stimulation on cognitive function…” Neurobiology of Aging, 36(8)…
Williams, C. (2017). “The application of transcranial direct current stimulation for cognitive enhancement…” Ph.D. Dissertation…
The sertraline vs. electrical current therapy for treating depression clinical study… JAMA Psychiatry, 70(4), 383-391.
Allman, C., et al. (2016). “Ipsilesional anodal tDCS enhances the functional benefits of rehabilitation…” Science Translational Medicine, 8(330)…

米国にて長年tDCS治療に関する臨床経験がある専門家の先生を所属スタッフとして招き、サービスの提供を致しております。また、各個人の脳波の状態に合わせた、オーダーメイドの刺激部位と電流刺激量の選定が可能です。
日本では医療機器としてまだ治験段階ですが、すでにFDAによって2022年にうつ症状の方向けの機器が認可されるなど、今後さらに臨床利用が広がると期待されています。

(※あくまでも日本では医療機器として未承認・治験段階ですので、当院でも研究および補完代替医療の取り扱いとさせて頂いております)
(※免責事項:健康的な老化には、定期的な運動、バランスの取れた食事、認知的な活動など、適切な生活習慣を維持することが重要です。)

・ 脳波測定および解析:1回 1万5千円
・ 時間枠:1枠30分(実質10〜20分)、週1〜2回
・ コース値段:1クール10回、20万円(税別)

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当院は完全予約制です。
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