認知症予防について

prevention

【認知症になりやすい人の特徴】

ここでは話をアルツハイマー型認知症(認知症の代表的なもの)に絞ってご説明します。発症リスクとして、複数の事柄が想定されています。遺伝的リスク(後述するアポリポたんぱくE遺伝子の変異)や加齢(65歳以上)は勿論、影響する事があります。一方で、世界的に権威のあるランセットという医学雑誌上で委員会レポートして2020年に発表された内容によりますと、「認知症の原因の少なくとも40%は生活習慣の積み重ねである」という事が述べられ大きな反響を呼びました。具体的には、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)、睡眠不足、運動不足、コミュニケーション不足、飲酒、喫煙、慢性のストレス(うつ病など精神疾患を含む)などが代表的な要因となり、それぞれが少しずつリスクをあげるとされています。ただし、複数の要因があるからと言って、全ての人が認知症になってしまうという訳ではありません。

【認知症は遺伝する?】

認知症の代表的なものにアルツハイマー型認知症がありますが、通常は65歳以上で発症します。このタイプの背景には、若年性ほどではありませんが、生活習慣以外にも遺伝的な要因があると想定されいて、代表的な遺伝子として「アポリポたんぱくE」があります。この遺伝子の1つに変異があれば、発症リスクが約3倍に、2つに変異があれば、発症リスクが11倍になると言われています。ただし、遺伝子変異があるからと言って、全ての人が認知症になってしまうという訳ではありません。

【「認知症の初期症状」よりも一歩手前の「放っておけない物忘れ」について】

まずは説明を読む前に、ホームページのトップページの冒頭にある「物忘れに関する10個の質問」をぜひやってみてください。当院オリジナルの内容です。

認知症の原因とされる脳の老廃物質(アミロイドβなど)は、40代の半ば頃より蓄積していくとされています。健康的な生活を送れば、適度に除去されていくため、脳のダメージは避けられますが、生活習慣が乱れ不摂生な生活を送れば、どんどん蓄積され、脳細胞を少しずつ破壊していくと考えられています。

私どものクリニックでは「40代からの認知症予防」を重要視しておりまして、「認知症の初期症状」よりも、さらに一歩手前の状態「放っておけない物忘れ」(MCI=軽度認知障害)の段階で、ご本人・ご家族に気づいてもらって適切な治療を受けてもらうことで健康な状態に戻り得るため、その時点での治療のサポートをさせて頂いております。

「放っておけない物忘れ」(MCI=軽度認知障害)とは何か?一言で言いますと、「結構深刻な物忘れを呈している状態である一方で、身の回りの基本的な動作や基本的な認識は問題ない」状態の事です。最近の重要な社会的ニュースや大きなイベント(旅行に行った事や、接点はさほど多くないが割と身近な人の名前が出てきづらい」などが典型例です。

ただし、物忘れが目立たないパターンもあり、マルチタスク(同時並行にやっていくこと)が苦手となり、例えば料理作りが苦手になります。一方で約束を守れなくなり、仕事の段取り力が低下するなど、計画性や時間感覚の低下を認めたり、感情のブレ(イライラなど)、意欲低下などの症状から発症することもあります。さらに人の会話についていったり、こちらから適切な発言をしたりする事が大変になる事もあります。場合によっては、判断力が鈍り、お金や身だしなみに関して、普段ならしそうにない誤った行動をしてしまう等も見られる事があります。こう言った症状は個々で現れ方が異なりますので、「あれっ、いつもの家族(あるいは自分)と何か違うな」と感じる事が連続で現れた時は要注意です。本人が自覚している場合もありますし、ご家族から気づく場合もあります。

何よりも、この状態・段階で食い止めることが、認知症予防で最も重要と考えています。つまり早期発見・早期治療という事になります。認知症は一旦進行すればするほど治りにくい傾向にあり、介護度が上がってしまった方を回復させる事は、極めて困難だからです。

【認知症予防のために40代からできる事】

繰り返しになりますが、認知症の発症の20〜30年前からアミロイドβやリン酸化タウといった脳内の老廃物質(認知症進行の原因とも結果とも言われています)が蓄積していくとされています。以上により、40代半ばからの認知症予防ケアの重要性が世界的に叫ばれています。
 具体的には、質の良い睡眠を十分とること、運動を継続すること、加工食品や動物性脂肪・糖質過多の食事内容の見直し、ストレス緩和、禁酒や禁煙などの生活習慣レベルでの行動がとても大切だと言えます。またコミュニケーション不足(孤立)も見逃せない要因で、うつ病と同程度の認知症リスクであるため、社会的なつながりを持つ事も有用と考えられています。

図:認知症ねっと(ウェブサイト)より転載

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