features
ここでは話をアルツハイマー型認知症(認知症の代表的なもの)に絞ってご説明します。発症リスクとして、複数の事柄が想定されています。遺伝的リスク(後述するアポリポたんぱくE遺伝子の変異)、加齢(65歳以上)、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)、心血管疾患(動脈硬化、狭心症など)、睡眠不足、飲酒、喫煙、慢性のストレス(うつ病など精神疾患を含む)などが代表的な要因となり、それぞれが少しずつリスクをあげるとされています。ただし、複数の要因があるからと言って、全ての人が認知症になってしまうという訳ではありません。
認知症の代表的なものにアルツハイマー型認知症がありますが、通常は65歳以上で発症します。このタイプの背景には遺伝的な要因があると想定されいて、代表的な遺伝子として「アポリポたんぱくE」があります。この遺伝子の1つに変異があれば、発症リスクが約3倍に、2つに変異があれば、発症リスクが11倍になると言われています。ただし、遺伝子変異があるからと言って、全ての人が認知症になってしまうという訳ではありません。
認知症の初期症状は様々なものがありますが、一般的なものとして物忘れがあります。例えば最近の出来事や物・人の名前などが思い出せない等です。またちょっとした複雑な一連の作業、例えば料理のレシピ進行や家計簿をつけるなどが困難になったり、人の会話についていったり、こちらから適切な発言をしたりする事が大変になる事もあります。またちょっとした事でイライラしたり、落ち込んだり、無気力気味になったりする場合も見られます。また判断力が鈍り、お金や身だしなみに関して、普段ならしそうにない誤った行動をしてしまう等も見られる事があります。こう言った症状は個々で現れ方が異なりますので、「あれっ、いつもの家族(あるいは自分)と何か違うな」と感じる事が連続で現れた時は要注意です。
世界的に権威のあるランセットという医学雑誌上で委員会レポートして2020年に発表された内容によれば、認知症の発症リスクとして生活習慣が約40%もの原因を占めていると指摘されています。また一方で、認知症の発症の20から30年前からアミロイドβやリン酸化タウなどの脳内老廃物(認知症進行の原因とも結果とも言われている)が蓄積していくとされています。以上より、40代からの認知症予防ケアの重要性が世界的に叫ばれています。具体的には、質の良い睡眠を十分とること、加工食品や動物性脂肪・糖質過多の食事内容の見直し、運動の継続、ストレス緩和、禁酒や禁煙などの生活習慣レベルでの行動が大切だと言えます。また孤立も見逃せない要因で、うつ病と同程度の認知症リスクであるため、社会的なつながりを持つ事も有用と考えられています。
診療時間(火-金)10:00-14:00, 15:30-19:00・(土)9:00-13:00, 14:00-18:00(月・日・祝お休み)